トライピークス、早稲田大学と共同で組込みLinuxシステムの
CPUリソース管理を行うアカウンティングシステム(CABI)の機能拡張に着手
トライピークス株式会社(本社:東京都品川区大崎、代表取締役社長:戸井田 穰、以下 トライピークス)と学校法人早稲田大学理工学部 中島研究室(所在地:東京都新宿区、中島 達夫教授、以下 早稲田大学理工学部)は、本日、文部科学省リーディングプロジェクトe-Society 基盤ソフトウェアの総合開発「高信頼組込みソフトウェア構築技術」のプロジェクトである、組込みLinuxシステムのCPUリソース管理を行うアカウンティングシステム(CABI 以下CABI)の機能拡張に共同で着手することを発表します。
昨今の情報機器は、高機能化、ネットワーク接続に伴い、その豊富な資源を十分に利用したリアルタイム性能や応答性の実現とともにセキュリティなどの考慮が重要な課題となっています。
こうした課題の解決方法として、早稲田大学理工学部では組込みLinuxシステムのCPUリソース管理を行うアカウンティングシステム(CABI)を研究開発しています。
CABIは高精度でプロセスのCPU利用時間を制御する機能を持ち、アプリケーションのCPU使用率を30%、20%などに抑えたい場合に的確に制御を行う事で、安全ではないプログラムのリソースの占有や、リアルタイムアプリケーションの資源予約を行う事ができます。
本成果はオープンソースで提供されていますが、さらに SMP環境への対応、QoS 機能の拡張、Emblix標準化仕様への対応を行うために、オープンソース開発実績のあるトライピークスと共同してSMP向け機能拡張の開発に着手する事になりました。
現在、携帯電話などの高性能な組込み機器で、消費電力の抑制などを目的とし動作周波数を上げずに、性能を向上させるためにマルチコアなど複数のCPUコアを搭載する形式が注目されており、その中でも、SMP(対象型プロセッサ)は、メモリ共有により、シングルOSで動作、非対象型のプロセッサよりも設計が簡易となるメリットがあげられます。
こうしたSMPシステム構成上でのCPU資源管理をより有効に行うため、特定のCPUにプロセスを固定化し、さらにその利用比率を制御できるようにします。また、拡張を行うことにより、以下のような特徴を持つシステム環境を構築することができます。
■機能拡張による新たな特徴
(1)SMP 環境でのCPUのQoS制御
それぞれのCPUで動作しているアプリケーション、または複数のアプリケーショングループをCPUに固定化し、さらにそのアプリケーショングループに対して特定のCPU利用率を適用できるようにします。高機能な組込みで用いられる汎用型CPUの、豊富なCPUクロックを有効に利用するため、一つのCPU上で非リアルタイムアプリケーションの応答性を確保すると同時に利用率の上限値を制限することでシステム全体の利用効率を上げることができます。このように、SMP拡張を行ったCABIの利用により、SMPマシン上でのQoS制御を容易に行うことができます。
(2)CPUリソースマネジメント標準化機能対応
標準化機能とは、Emblixリソースマネジメントワーキンググループで制定した、CPUリソースマネジメント標準化仕様ver1.0です。本仕様で提供するAPIに準拠するためのインターフェイスを、本資源管理システムも同様に提供します。これにより、仕様に準拠した標準化のインターフェイスを利用したシステムを構築することができます。
(3)インターフェイスの整備
組込みシステム開発の現場で本システムが利用されるためには、システムをより簡易に利用することができるインターフェイスが必須ですが、本開発では、従来の問題点や利用観点での利便性を考慮した上で利用しやすいインターフェイスを提供します。これにより、より容易にシステム構築を行うことがでるようになります。
本プロジェクトで機能拡張を行うCABIの拡張において、トライピークスと早稲田大学が協力して仕様の策定・開発を行います。プロジェクトの終了は2008年2月を予定しており、終了後には成果物であるプログラムのソースコードを公開し、オープンソースソフトウエアとして幅広く普及することを目指します。
■早稲田大学理工学部コンピュータネットワーク工学科
教授中島 達夫氏のコメント
「マルチコアCPUの資源管理技術は今後の組込みシステムにおいて大変重要な技術です。今回の取り組みは、より複雑化する組込みシステムに対処するための重要なステップであると認識しています。」
■早稲田大学理工学部コンピュータネットワーク工学科
助手菅谷 みどり氏のコメント
「組込みなどの資源制約が厳しいシステムにとって、資源管理は重要な課題です。今後、組込みシステムがより高性能化する中で、システム基盤上でQoSやマルチコア向けの資源管理技術を進めることは、今後の組込みシステムの基盤の構築という意味でも重要な役割を持つものと考えられます。」
■トライピークス株式会社
代表取締役社長戸井田 穰のコメント
トライピークスのエンジニアは色々なオープンソースコミュニティで技術力を活かして活躍しています。その活動実績及び高い技術力を認めていただき、この度、早稲田大学理工学部中島研究室と共同でトライピークスの組込Linux技術を活かすことができる「高信頼組込みソフトウェア構築技術」のプロジェクトに携われることを光栄に思います。今後もオープンソースコミュニティへの積極的なかかわりを目指し鋭意努力する所存です。
■トライピークスについて
トライピークスは、組込みLinux関連製品、Linuxインテグレーションを機軸とし、「TP InstantBoot」をはじめとする組込みLinux製品の開発・販売・サポートの提供、組込みLinuxの移植・開発・コンサルティングを含むプロフェッショナルサービスの提供など広範囲な組込みLinux関連事業を展開しています。
また、多くのオープンソースコミュニティの活動に深くかかわっております。トライピークスのエンジニアは、それぞれが各種オープンソースコミュニティで活躍する事を目標とし、お客様とコミュニティとの架け橋になることを目指しております。
■TP InstantBoot Version1.0について
「TP InstantBoot」は、組込みLinuxを採用した製品の起動時間を最大で約1/5以下に短縮するソリューションです。Linuxカーネルやアプリケーションに修正をほとんど加えることなくシステムメモリ及びCPUレジスタの内容をスナップショットイメージとして保存し、機器の電源投入時に保存したスナップショットを復元することにより、Linuxカーネルやアプリケーションのロード及び初期化時間を省略し、システム全体の起動時間の短縮を可能にします。
・LinuxはLinus Torvaldsの登録商標です。
・TRIPEAKSはトライピークス株式会社の登録商標です。
また、記載されている会社名、製品名は各社の商標又は登録商標です。